龍と狼43

武藤 岳  2007-10-26投稿
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ソルミはそわそわしながら、あちこち移動してみたり、座ってみたりと、全く落ち着かなかった。

逆に、ソンスンは、閉ざされたシャッターの手前で、不審者が現れたら、いつでも発砲できるように、拳銃を握って立ったままでいた。


昼過ぎに差し掛かった頃、シャッターをノックする、来客者が現れた。

ウンジュの生還を願うソルミは、一目散にシャッターに駆け寄ったが、用心棒役のソンスンに制止された。


そのまま、シャッターの新聞受けからソンスンが謎の来客者に尋ねた。

「誰?」


すると、聞き慣れない声だが、訛のない綺麗な韓国語で返事が帰ってきた。

「ノ・チャンホと言います。こちらに、イ・ウンジュさんの妹君、イ・ソルミさん、それと・・・
“ご友人”のハン・ソンスンさんはおられますか?」


“ご友人”という、含みのある言い回しも妙に引っかかったが、何よりも、自分自身の存在が自分の知りうる人間以外に知られている!


ソンスンは、不信感を強めて、再び訊いた。

「何者だ?」

すると、一瞬の間の後に、意外な言葉が出てきた。

「“本店の人間”と言えば、判ってもらえるんじゃないかな?」

ソンスンは、驚いて目を見開いた。



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