一陣の風 「夢見る少年と異端の紅い十字架?」

姫乃 真咲  2007-10-28投稿
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作戦名…「オペレーション・バーンバニッシュ」

レイナードより告げられた作戦はその名のとおり゛爆発を消す゛ことだ。
キッドのアンチマジックフィールドにより、相手の魔術を未然に防ぎ、爆破行動を看破する。と言う、多分に運任せな作戦だった。

警察の報告から、敵の爆破行動は物質的な爆弾ではなく、魔術によって作り出された爆弾を使用しているか、爆発そのものが魔術であると推定されていた。
どちらの場合でも、キッドの魔術で防ぐことがおそらく可能である。
推測と憶測で立てられた作戦。
最悪被害者はキッド一人で済む…そんな打算で作られた作戦。

(まぁ…現状、1番理想的な作戦なのかも知れないけど…)
被りをふりながら、キッドはAMフィールドを展開する。
刀や剣の周囲、と言うのは攻撃面を考慮した訳ではなく、それぐらいの大きさが展開出来る限界なだけのことだった。
全身を包められるのが理想的だが、キッドには両の拳だけで精一杯だった。

男は、右手を広げ意識を集中させる。
すると、手の先に白い靄のようなものが発生する。
始めはあやふやな形をしていたそれが、鋭く研ぎ澄まされ、拳の形に集約され、輝きを増す。
(これが、この人の爆破魔術…!?)
キッドが考えるより先に男の右腕が左胸を掴む。
(やられたっ!!)
目が黒く眩む。
相手の動きに注意していたはずなのに、あまりの輝きに不意を突かれてしまった。
不甲斐なさを後悔するよりも早く、直面する単語に目をつむる。

(死…)

完全に殺された…と、思った。しかし、目を開けてもそこには変わらない光景が。
「…ちぃせぇな…」
吐き捨てるように耳元で囁かれた。
振り返ると、先ほどまで目の前にいた男の背中が見える。
(失敗したのか?)
微かな希望とともに、男に触れられた部分を手で確かめる。
何の変哲もない感触。
あえて言うなら、女装の為の詰めものがズレていた。
余程強く掴まれたらしい。
普通ならそれで安心したかもしれない。
だが、それ以上の違和感を感じたのだ。
(これは…?)
視線を自分の胸元へ写す。
男に触れられた部分が見覚えのある色に輝いていた。
驚愕を隠せず、もう一度男を見る。
すると、既に10メートル以上距離を開けられている。
男の右手に先程までの輝きは失われていた。

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