いつものように目が覚めた。
私は寝起きはいい方。だと思う。
頭が驚く位スッキリ。してるような気がする。
幸せな夢を見たのにおぼえてない。
すごく大事なことを忘れているみたいな、のどに魚の骨がひっかかったような。そんな気分。
「起きたの?!」
母がノックもなしに慌てた様子で部屋に入ってきた。
「起きましたよ。何?」
ふとんを整えながら返事をする。
「そう。あー朝ご飯は?」
「いただきましょう?」
カタ眉を上げて偉そうに答えてみる。慌てている母が可笑しくて、余計茶化したくなったから。
「ぢゃあ着替えて、降りてらっしゃい。それ、そこにあるのが新しい制服。」
椅子の上に綺麗に畳まれた制服が置いてある。
「ふーん、ありがとう。」
ワイシャツに袖を通して、ブレザーのボタンをとめる。
今日から新しい学校に通うことになった。
父が会社に近い方がいいからとか、そんな勝手な理由。
もともとは東京の公立に通ってた。友達と会えなくなるのは寂しいけど、会えない距離でもない。
「ふー寒いッ」
カーテンを開けた。
窓の外に、海岸を犬と散歩してる人が見える。
そう、ここは海が見える街。
鎌倉。
東京からは1時間くらいのちょい田舎街。
空気が綺麗だし何より落ち着く。
不思議な街。