龍と狼49

武藤 岳  2007-10-29投稿
閲覧数[349] 良い投票[0] 悪い投票[0]

チャンホの携帯電話が鳴った。

チャンホは、さっきまでとは明らかに違う、緊張した口調で相手と話し始めた。

しばらく話をした後で、チャンホがソンスンに携帯電話を差し出した。

「君に代わってもらいたい。」

ソンスンは、意外な申し出に、抜いたナイフを背中に戻し、チャンホから携帯電話を受け取った。

「もしもし・・・」

聞こえてきた声は、更に意外な声だった。

「あっ!」

ソンスンは、思わず驚きの声をあげた。


「私が誰なのか、名乗る必要はなさそうだね。」


何度も聞いた声だ。

海兵隊に在籍していた時は、ソンスン達、大韓民国軍の指揮を司る、最高責任者だった人間・・・。

「だ、大統領!」

「それ以上は言わないように。
私の部屋はクリーニング済みだが、何処で洩れるか判らないからね。」

ソンスンは、緊張と嬉しさが交錯した。

棟方を殺れる、最初で最後のチャンスだ。

「詳細はノ君から聞いた。軍での君の経歴やフリーランス以後の経歴も、リストアップしている。」


『ウンジュは全て報告していたんだ・・・』

ソンスンは、ウンジュに騙されていたような気持ちと、感謝する気持ちが絡み合い、複雑な表情になった。

i-mobile
i-mobile

投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 武藤 岳 」さんの小説

もっと見る

ミステリの新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ