龍と狼50

武藤 岳  2007-10-29投稿
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「君の要求だが、実に驚きの内容だった。
率直に言って、君の要求は呑めない。」

ソンスンの表情が固くなった。

「たとえ、フリーランスの人間であろうと、一国の最高責任者の抹殺を容認する事は、テロを支持する某国と変わりがない。」

「お待ちください。」

ソンスンは意見を述べようとした。

「だがね・・・」

しかし、相手は先を続けた。

「まず、一つ、君に確認しておきたい。
彼をこの世から消しても、直ぐに第二、第三の彼が現れるのじゃないのかな?」

ソンスンは、その言葉をじっくりと聞き入れてから、質問に答えた。

「確かに、仰るとおりかもしれません。
しかし、今、やらないと、彼は更に増長し、我が国に更なる悪影響を及ぼすでしょう。」

「正論に近いが、それは君の私情だよ。」

低く、重い声がソンスンの心にのしかかった。

『私情・・・。そう言われれば、それまでだ』

「だが、事故はいつ起こるか判らないものだ。」

ソンスンは目を見開いた。

「私は君の要求を聞いて、一つの案が浮かんだ。
今から伝える事ができるかな?」

ソンスンは固唾を飲んだ。

「彼を抹殺する現場に、ニホンオオカミを呼び寄せる事だ。」


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