『無茶苦茶だ!』
ソンスンは心の中で叫んだ!
影も形も判らない連中を、どうやって棟方と一緒にさせるのか?
「近日中に・・・」
ソンスンが動転している間に、相手の話は続いた。
「私は、近々、先日のサンフランシスコでのテロ事件の追悼セレモニーに出席する為に、アメリカへ渡る事になる。
その式典には、日本の彼も、アメリカの国家元帥も、いや、世界の指導者達が出席する」
ソンスンはハッとした。
「と、言う事は?」
「ニホンオオカミの奴等にすれば、格好の舞台だと思わないか?
世界中の指導者を一気に抹消できる、叉とないチャンスだと思わないか?」
「し、しかし、ご自身にも危険が及ぶ可能性が・・・」
「大きな成果には、リスクは付き物だよ。
それにだ、韓日首脳会談も行うつもりだし、棟方をフリーにさせる機会なら、幾らでもある。」
「お言葉ですが」
ソンスンに疑問が湧いた。
アメリカや各国の政府だってバカじゃない。
テロを警戒して、厳重な警備体制を敷いてくるはずだ。
連中がそう簡単に、テロを仕掛けられる、いや、その前に忍び込む事ができるのか?
「奴等は必ずテロを仕掛ける。」
自信に満ちた声だった。