春樹との出会い…
これは『運命』だと思う。そんな気がする。
「ねえ加藤さん、来週の休みを決めるよ」
私が勤めている歯科医院は、日曜休診。それ以外の日は6人居るスタッフが交代で休日を取る週休2日制となっていて、先に休みの予約を取らない限りはスタッフ同士で休みを決めているのだ。
「私はいつでも良いよ、特に予定は無いから」
彼氏も居ない淋しい独身女性だもん、どうぞ予定のある人から決めちゃって。
嫌みを言う訳じゃないけど、休みの相談をする時は決まって、”彼氏と休みを合わせたい”だの、”食事に行って夜が遅くなるから次の日を休めるようにしたいなー”だの、誰も聞いてないっつーの!って言いたくなっちゃう自慢を毎回のように聞かされる。
歯科衛生士の仕事は好きだし、スタッフは良い人ばかりで居心地は良いんだけど、休みの相談の時だけは苦手。
早いとこ適当に決めてよ…。
結局、私は残った水曜日が来週の休みとなった。
「さて、休みが決まった事だし、今度は何処へ行こうかな。」
月に一度、私はプラネタリウムへドライブがてら行くのが楽しみ。
趣味は天体観測と下手だけどピアノを弾く事。あと写真も少々。
家に帰るとパソコンを立ち上げ、来週の行き先を決める事にした。
平日のプラネタリウムはたいてい一般の投影時間が午後の2時や3時頃からになる。
だから、朝はゆっくり家を出て、カメラ片手に写真を撮りながらプラネタリウムへ行くのが楽しい。
「一人でも楽しめるから良いんだもん!」
平日のプラネタリウムは人が少ない。
だからこそ、静かに落ち着いて見れるから好きなのだ。
先月行ったプラネタリウムは、投影時間が早かったからか、私と、子連れの家族と、あとは大人が2〜3人位しか居なかった。
開場待ちをしていた時に横を通った男の人、どこかで見た事があるような気がする…。
誰だったかなぁ?
夏の賑やかな星空から淋しさを感じる秋の夜空へと変わっていく星の煌めきを眺め、ふと溜め息がこぼれてしまった私は、急に一人ぼっちの様な気がして、無意識のうちに涙が溢れてしまった。
「そういえば、さっきの人、前にも別のプラネタリウムで見掛けたなぁ…」
気付いたのは帰りの車の中でした。