『爆裂少女』
真夜中に自分は目を覚ます。
今日は眠れなかった。
普段着に着替え、用意しておいた旅行鞄に必要な物を詰めた。
銀行から下ろしたお金は100を越えた金額だった。
闇への階段を下りて、扶養者の鍵を摘み取る。
それでは、今までどうもお世話になりました。
と心のなかだけで唱えて、自由への扉をくぐった。
いつもは不気味な闇夜も、今日は自分を興奮させた。
静かな世界は自分の気持ちをひさかたぶりに嬉しくさせた。
自分が摘み取った鍵は扶養者の車の鍵だった。
教習本で勉強もしたし、扶養者と遠出した時に使い方はほぼ覚えた。
乗り込み、エンジンをかける。
アクセルを踏み出すと、ゆっくりと動き出す。
ああ、なんて楽しいのだろう。
「しゅっぱつー」
自分は抑揚の無い声で呟いた。