それは雲一つない快晴の空の下、一本の電車で全てが始まった…。
僕は普通の大学生。
名前は【井上 太一】。
家賃5万円のアパートで一人暮らしをしている。
実家からは仕送りが毎月5万円送られてくる。
それだけじゃ足りないため僕はコンビニでバイトをしている。
僕が通う大学の周りにはアパートが一切ない。
そのため毎日の通学は電車で30分位かかる。
ある日僕はいつも通り8時20分出発の電車の1両目に乗った。
最初はガラ空きで、いつも座れる。
でも、次の駅に着くと満席になる。
また今日も満席になった。
その時一人の女性が同じ車両に入ってきた。
僕の前に立った。
僕はその人が、沢山の荷物を持っていたので
僕は席を譲ろうとした。「ここ どうぞ!」
しかし彼女は首を横に振るだけだった。
「…ん?」何か少し様子が変だった。
僕は再び「遠慮しないでください。どうぞ!」と彼女に言った。
すると彼女は笑顔でお辞儀をして何か手で表現して座った。
「…手話?」
僕は思った。
そう。彼女は耳では聞こえていても、喋ることができないのだ。
僕は、良いことをしたなと思った。
その後はただ普通に授業を受けて、真っ直ぐに帰って1日が終わった。
今日の電車での出来事がこれからの一生を変えてしまう事を
僕はまだ知らなかった。