お気に入りの服

ふく  2007-10-29投稿
閲覧数[224] 良い投票[0] 悪い投票[0]

出掛けるときはいつも同じ服を手に取る
あなたが『その服いいね』と照れ臭そうに顔を赤くした
その日から私の一番のお気に入りになった
あれから十年近く経つのにその服だけは大切にしている
あなたが気に入ってくれたから大好きになった
だから決まってその服を着る
何処かで偶然出会ったら
すぐに見付けて貰えるように

ボロボロになって
ほつれていく
『いい加減捨てなさい』
みっともなくてもいい
『これだけは駄目』
そう言って抱きしめて悲しくなる
何度も捨てようと思った
誰が見ても可哀相に古くなった服を身につけるのは惨め過ぎる
だけど今この服を捨てたらあの人との思い出を捨てる事になるような気がして
そんなのは絶対嫌で
どうしても出来なくて
私の腕で強く抱きしめられた服が情けなくくたびれてしまって

でもまた『いいね』って言ってほしくて
もうこんなボロボロの服を見ても呆れて笑われるだけかもしれないけど
あなたにも思い出が甦るなら私はいつまでもこの服を着て待ち続けたい



投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 ふく 」さんの小説

もっと見る

恋愛の新着小説

もっと見る

[PR]
人気雑誌多数掲載
脂肪溶解クリーム


▲ページトップ