ぎらぎら照り付ける太陽の中、私とシン、リュウの三人は黒のスーツをまとい、墓地への坂を歩いていた。気温は高いはずなのに、不思議と暑さは感じられなかった。やがて、駿河家と書かれた大きな墓の前に着いた。 「…母さん、また来たぜ。今年のもいい仕上がりだ」優しく、まるで子供に話しかけるかのように、リュウの口が動く。この時だけは普段、硬派な彼が嘘のようだ。 私達は、16才になっていた。毎年のことながら、墓にはすでに美しい花があった。そして、毎年、リュウはそれを睨むのだ。
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