バタバタバタ…
…
ガラッ!!
「真依君!真依君!真依君!真依君!!」
勢いよく教室のドアが開いた。
「…ッんだよ!」
「あれ恭平だけ?真依君は?」
私、海老原あんな(エビハラアンナ)。
同じ学校の但馬真依(タジママイ)君と付き合っている。
特別可愛い訳じゃないけど、限りなく不細工ではないと思う。
小さい頃から伸ばしてきた、栗色の髪が密かに自慢だった。
「ねーねーそろそろ真依なんかやめて俺にしない?」
「間に合ってますー」
真依君の友達の朝丘恭平(アサオカキョウヘイ)は、仮にも友達の彼女なのに
私を平気で口説いてくる。
……まぁ本気じゃないだろうけど。
「で、真依君は?」
「ちゅうしたら教えてあげる」
出たよ。
「……自分で探す。」
私は出口に向かって歩き出した。
「冷たいなぁ」
後ろで恭平がむくれていたが、気にならなかった。
私はどうしても真依君に伝えなければならないことがあったから。
続く