気付いたら僕は病院のベッドの上だった。
警察やら何やらが来て、母さんも風樹もリン太も、そして父さんも死んだと聞かされた。
親戚の夫婦が僕を引き取ろうとしたが、僕はその好意を断った。
何度も何度も死のうと思った。人生なんて碌なモンじゃない、今すぐ終わらせてしまいたいと思った。
しかし、僕は死ねなかった。死ぬ勇気などなかった。
このとき初めて、自殺をする人々の決意がどれほど強いかを理解した。
それから三年間、僕は死んだように生きてきた。
学校では誰とも関わらずに過ごした。もちろん、大抵の生徒や教師が事件のことを知っていたが、誰も触れる者はいなかった。
そんなこんなで、高校生活も残すところ僅か1年と数ヶ月になった。
財産はたくさんあったので、バイトをする必要もなく、特に生活に困ることもなかった。
壁や床の地獄絵図はきれいさっぱりなくなった。壁紙やフローリングを変えたのだ。
しかし、あの忌まわしい夜のことは僕の中から消えることはなかった。