「真鍋君、三番テーブルさんお願い!」
結局、(ファミレスの)バイトを休む事が出来なかった俺は、忙しく動き回っている。
明日休み取る分、今日休む訳にいかねーし。
(あっつー…)
でも、まぁ…こうやって動いてる方が、余計な事考えずに済むしな。
「いらっしゃいませ。ご注文がお決まりになりましたらお呼びください」
目の前の客にメニューを差し出す際に視界が捉えたウチの制服…。
目が合って、向こうが口を開いた。
「真鍋先輩すよね?」
(俺を知ってる…?)
「松本充です。知ってますよね?」
え?
こいつ…
俺は手にしていたハンディーを床に落としかと思うと
目の前が歪んで…
何も見えなくなった。
気付いたら更衣室のソファーに横たわっていて、頭には温くなったタオル…。
倒れたんだっけ、俺。
カタッ!
物音がして起き上がる。
…驚いた。
「…何でお前が?」
松本充と名乗った男がそこにいたからだ。
「貴方の後輩だって言ったら、入れてくれました」
「何の用だ」
俺は無意識に睨み付けた。
向こうも負けじとこっちを見据えている。
「俺、本気ですから…彩の事」