柳田達が公園に着くと、朝の散歩を楽しむ老夫婦や、ジョギングをしているカップルなど、皆、朝の爽やかな時間を満喫していた。
そんな爽やかな空気から、少し浮いてしまっているスーツ姿の三人は、川辺のベンチに腰を掛けた。
「遅いな。」
柳田は腕時計を見た。
約束の時間になっても、それらしき人間は現れなかった。
そんな時、柳田達が来た方向と逆の方向から、二人のスーツ姿の男が近づいて来た。
一人は眼鏡を掛けて、インテリジェンスな風貌のアジア人、もう一人は髪がボサボサで、スーツも体格に合っていないのか、パンパンに張っている、体格のいいアジア人・・・。
チャンホとソンスンだった。
「あの眼鏡・・・」
真矢が呟き、少し睨んだ目をした。
「どうした?」
柳田が真矢の異変に気付いた。
「あの眼鏡、確か、韓国の・・・」
「NIS(韓国国家情報院)か?」
柳田も二人のアジア系の男を見た。
「ええ、恐らく。」
「どういう事だ?」
その頃、チャンホとソンスンも疑念に駈られていた。
「CIAのエージェントは、アジア系なのか?」
ソンスンが質問すると、チャンホは首を横に振った。