きみが死んでも愛してる

 2007-11-01投稿
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 ぼくはいまカレーライスを作っています。
 妹と二人暮らしなのですが、お隣の三兄弟が毎週金曜日は泊まりに来る日なので、多めに作ります。何故、高校生になってまで三兄弟は泊まりにくるかと言うと。その原因は妹が一端を担っています。
 一つだけ年下の妹は、それはそれは可愛くて、ぼくは昔から猫可愛いがりしてきました。
 それが悪かったのかよかったのか、妹は甘えん坊で天真爛漫で、いつまでも少女のままのような、そんな娘に育ちました。妹の名前は由茗と書いて、ゆめ。
 父親は不明ですが、白人の血が入っているらしく、ブロンドの髪にぱっちりとしたまつ毛に縁取られた大きな目、細い矮躯を持ち合わせた、人形のような少女です。
「ばんわー」
 三人がドアをノックしないで入ってきました。
「きょうもお邪魔します、と。」
 挨拶したのは長男の裕。ぼくと同じ高二。
「おー由茗。きょうもかわゆいなーおまえは。」
「瑞樹、セクハラだぜそれっ」
 瑞樹とその双子・章人は由茗の同い年。
 きょうもそんな風に、賑やかに騒いで終わる筈でした。
 瑞樹がキャバレークラブで働く女からもらったというドンペリをあけるまでは。ていうか何貢がせているんですか。
「よし、飲め由茗!」
 瑞樹がしきりに由茗のグラスに注がれたそのお酒をすすめます。
「瑞樹。」
「あ?何だ友兄」
「言っておきますけれど、由茗には酔ったら脱いだりキス魔になったりするおいしい能力はありませんよ。」
「まじか。ってか何で知ってんだ。さすがだな友兄。」
「やーい瑞樹ちゃんの女好きー友ちゃんが知らないことなんか無いんだからー」
 いやいや由茗、ぼくも知らないことはありますけれどね?
「由茗、それ以上飲むのは許しませんよ。」
 ぼくは溜め息をついて由茗からグラスを取り上げます。
「やー友ちゃんのえっちぃ。」
「日本語は正しく使わないと後悔しますよ?」
「きゃー友ちゃんに犯されるっ。助けて章ちゃんっ。」
「よし、任せろ!」
 由茗と章人の二人は裕の後ろに隠れて言います。
「裕ちゃん、行けー!」
「うわっ何だおまえらっ。」
「友ちゃんをやっつけろ!隊員でございますサー!」
「ですぜっ兄貴!」
「どっか行け。特に由茗!俺に近づくな!」
「友ちゃーん!裕ちゃんに酷いこと言われたぁー!」
 由茗が泣きながらぼくのところへ戻ってきました。
 いくつになっても、この子は変わりません。



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