一週間後、僕は高揚した気持ちで登校した。
凌駕はどこだろう、もう来ているのだろうかと考えながら、2年生の教室がある3階へと急いだ。
階段を昇りきったとき、僕は立ち止まって廊下を見渡した。しかし、どこにも凌駕の姿はなかった。
まだ来ていないのか、と諦めて教室に入ろうとしたとき、後ろから誰かが通り過ぎていった。
「凌駕!」
間違いない。あのモデルのようなスタイル、無造作に立った金髪、後ろから見ても分かる。
凌駕は振り返り、一瞬僕と目が合ったが、何も見なかったかのように行ってしまった。
僕は理解に苦しんだ。授業中も凌駕のことが気にかかり、一週間前の凌駕は幻だったのではないかと思った。
もしくは、あの日の凌駕は僕をからかっていただけなのか。最悪の考えが次から次へと水泡のように浮かんでは消え、僕は悲しくなって、昼休みに一人で屋上に行った。
ここは、あまり人が来ない上に見晴らしが良く、僕のお気に入りスポットだ。