僕は躊躇いながらも、あの忌まわしい事件のことを話し始めた。
凌駕は僕が話している間、ずっと黙って聞いてくれた。
一部始終を話し終わると、凌駕は、僕の腹の傷を見せてくれと言った。
凌駕は僕の傷痕に触れ、まるで自分の傷のように辛そうな顔をした。
「次は凌駕の番だよ。」
凌駕は少し驚いたようだった。恐らく、僕の荷物だけ持って帰ろうと考えていたのだろう。
「凌駕の荷物も半分、僕に分けてよ。僕ら、友達なんだから。」
僕は凌駕の目を真っ直ぐ見ながら、強く言った。
凌駕は一瞬、困ったような表情をした後、自身の過去について語り始めた。その内容は、あまりにも悲しいものだった。