凌駕の母は、凌駕を産むと同時に死んだ。
凌駕の父は、妻が死んだのは凌駕のせいだと責め、凌駕を虐待し始めた。
凌駕の姉は、見て見ぬふりをした。
凌駕は幼稚園に入り、多少は虐待から逃れられるようになった。
しかしある日、遠足の途中で園児の集団に、トラックが突っ込んだ。
凌駕以外は全員死に、凌駕だけが生き残った。
凌駕は、自分に関わった人間は皆、死んでしまうのだと思い、他人と関わるのをやめた。
そして小学生のある日、姉が自殺した。原因は同級生からの陰湿ないじめ。
その日から凌駕は、いじめっ子を見付けては撃退するようになった。
そして中学生になり、いじめられている少女を助けた。
それをきっかけに二人は付き合い始め、こんな世界にも幸福はあるんだ、と凌駕は思った。
しかし突然、彼女は死んだ。殺された。凌駕の父の手によって。
“自分の妻を殺した凌駕から、愛する者を奪ってやりたかった”
…それが父の供述だった。凌駕の父は刑務所に入れられ、凌駕は独りになった。
その日から、他人を信じることをやめた…。