「あいつ、馬鹿だよな。オレはヒーローなんかじゃねぇ…タチの悪い死神なんだ…」
凌駕の拳から血が飛び散った。
僕が凌駕の手首を掴んで木を殴るのをやめさせると、凌駕はしゃがみ込んだ。
「オレのせいで誰かが死ぬぐらいなら…もう…死にてぇよ…!」
僕は、その悲痛な叫びに答えることが出来ず、ただ茫然と凌駕の背中を見つめていた。
この美しい空は、一体誰の幸せを映し出しているのだろう?僕らはこんなにも、暗闇の中にいるのに。
神様がいるとすれば、どこまで僕らを苦しめれば気が済むのだろうか。
その日、僕は凌駕を僕の家に連れ帰った。
一人にしたら、自殺でもしてしまいそうな予感がした。
僕らは一言も喋らず、悲しい一日の終わりをただ受け入れるしかなかった。