僕らは翌日、学校を休み、公園に向かった。
ブランコに並んで腰掛けてみたものの、僕はどうして良いか分からず、黙っていた。
すると、凌駕がぽつりと言った。
「お前も、オレに関わらねぇ方が良いんじゃねぇの?」
僕は凌駕に、僕が凌駕よりも己の命を選ぶ人間だと思われている気がして、悲しくて堪らなかった。
「僕は…あの夜死んでたはずだった。」
そう、父さんが一家心中を図った、あの忌まわしい夜に。
しかし僕は生き残った。それは何故か?
「きっと僕は、凌駕に出会うために生き残ったんだ。」
凌駕は僕を見たが、僕は照れ臭くて凌駕の方を見れなかった。
「僕は長生きするより、ほんの短い人生でも笑って死ねる方が良いよ。」
「でもオレは…オレのせいで誰かが死ぬのは嫌だ。」
「もし本当に凌駕のせいだったとしても、きっとその人は、凌駕に心を救われてたはずだよ。」
凌駕は目を見開いた。今まで、そんな考えは微塵も浮かばなかったのだろう。
「有り得ねぇよ。」
「それ、昨日僕が言った言葉と同じだね。」
一瞬の間があってから、凌駕は笑い出した。
しかし同時に、目からは涙が溢れた。
「やっと笑った。僕、凌駕にはそうやって笑っててほしいな。」
「何だよ、それ。お前も笑え。オレだけ笑ってたら変人みてぇじゃねぇか。」
僕らは笑った。
まだ、順也の死の悲しみは薄れてはいなかったが、ひたすら笑った。そうすれば心が軽くなる気がした。