裏道7

寺北  2006-03-23投稿
閲覧数[531] 良い投票[0] 悪い投票[0]

次の日もその次の日も隣の席は空いたままだった。学校に来ても虚しい日々が続いた。ちょうど一週間が過ぎた頃、総二は職員室に呼び出され、テストの時間割りを持って行ってくれと頼まれた。嬉しかった。やっと夏希に会える。もらった住所と地図を片手に夏希の家に向かった。ついて見ると想像以上に古びたアパートで驚いた。部屋の前に着きチャイムを押そうとした時、緊張して一歩手前で指が止まった。深呼吸してもう一度。押せなかった。それを5分くらい繰り返し、やっと押した。しかし反応はなかった。どうやら留守のようだった。「明日にしよう」一言つぶやいて家に帰った。それから毎日行ったが一度出てくる様子はなかったも。席替えが明日にせまった八日目。帰り道いつもと同じように夏希の家のチャイムを押した。
「はい」
耳を疑った。最初来たときは家にいる事が前提だったが、今はむしろいない事が前提になっていた。一気に緊張がこみあげてきた。ドアを開けて出てきた久々に会う夏希を見た瞬間、頭の中にあるすべての言葉を失ってしまった。
「久しぶりね。元気にしてた?」
もちろん返事を返す事もできず、数秒の沈黙の後、はっと我に返り肩に掛けたカバンの中から、テストの時間割りを押しつけるように渡した。

i-mobile
i-mobile

投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 寺北 」さんの小説

もっと見る

ミステリの新着小説

もっと見る

[PR]
ネ申盛れるカラコン
激安1日98円


▲ページトップ