「ありがとう」
突然渡された時間割りに少し驚いたようだったが、嬉しそうにそれを受け取った。
「淋しかった。ずっと会いたかった。会えなくてわかったんだ、俺は夏希の事が好きなんだ。早く学校に来てくれよ。夏希が隣にいない学校にいたって何の意味もないんだ。」
夏希の笑顔を見たとたん、さっきまでせき止められていた言葉があふれだした。本当は告白するのは終業式の日と決めていたのに、自分の意志に逆らって、勝手に口が動いた。
「うん」
夏希は小さくうなづいて、細い腕を総二の背中にまわした。総二は嬉しいはずなのに、それすら分からず、ほとんど反射的に彼女を抱き締めた。小さく細い体は少しでも力を入れると折れてしまいそうだった。その後、部屋に入りキスをして夏希を抱いた、いやむしろ抱かれたと言ったほうが正しいのかもしれない。無我夢中だったのでがあまり覚えてはいないが、夏希の口から総二の事を好きという言葉を言ってもらえなかった事だけは覚えている。
「明日から絶対学校に来いよ。待ってるから」
「うん」
帰る間際に言葉を交わして家に帰った。家に着いてからも夏希何度も何度も思い出し枕を抱き締めながら朝を待った。長かった夜が明けいつもより早く学校に着いた。今日から楽しい学生生活が始まると思い込んでいた。また夏希が欠席したと知るまでは…