DECEIT [脱出] ?

etc.  2007-11-05投稿
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 「何なの?」

 怪訝そうな顔をしながら光はマークを見つめる。

 「最新型の携帯電話だと思ってくれればいい」

 そう答えた望は手慣れた手つきで右耳にはめ込んだ。

 髪の毛を耳にまでかけ、その存在を隠す。

 光も置いてかれまいと、急いで取り付ける。

 すると機械から耳障りな電子音が聞こえてきた。

 『……searching…………』

 光でも聞き取れる程の英語、しかし一体何を調べているのか検討もつかない。

 『……What your name?』

 「……え、何!?」

 いきなりのアナウンスに戸惑いを隠し切れない。

 「名前を言うんだ、名前だよ」

 呆れ顔のマークはバイクの座席の下から何やら取り出しているようだ。

 「……右京 光」

 『日本人と特定。こんばんは、右京様』

 驚いたのはもちろん光である。

 「……凄い……」

 『貴方の体型・身体能力・年齢等のデータを登録しました』

 「……いつの間に……」

 『ただ今からデータの確認を致します。確認が不要の際は御申し出下さい』

 「確認は必ずやっておけ、いずれ役に立つ」

 タイミングよくマークが声をかける。

 他の二人は既に片耳に意識を集中していた。

 『それでは確認致します』

 興味深々、一方で半信半疑の光はアナウンスに意識的に耳を傾ける。

 『細胞中に含まれるミトコンドリアレベル度数はA+と判定されました』

 「……みとこんどりあ?……えーぷらすぅ?」

 「まじかよ!?」

 望は光の発言が受け入れられないようだ。

 「……意外だな」

 出発の準備をしていたマークの手が止まった。

 「何なの? ミトコンドリアって」

 「身体能力を左右すると言われている細胞のなかの組織。酸素を取り込んでエネルギーを作り出す、言わば工場の様な存在だ」

 「で?」

 「俺でさえAランクなのに……」

 望が軽く舌打ちした。

 「理論的に言えば、今の君は望以上に運動神経抜群という訳だな」

 マークが付け足した。

 運動音痴だと言われ続けて来た光にとって、衝撃的なことだった。

 アナウンスは続いている。

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