「時間ピッタリだねぇ。普通少し早く来るもんじゃない?」
「仁美もピッタリだろ?」
思えば学校外で会うのも私服姿を見るのも初めてで、ただ二人並んで歩いているだけなのに新鮮な気持ちになる。
「もぉ明日でこの関係も終わりだね」
「……そうだなぁ」
俺は…
少なくとも俺は今の関係を本当にしたい。
不自然な恋人のフリが嫌じゃなかったのも、本命の恋人が出来なかったのもいつ頃からか本気で好きになってたからだ。
「ねぇ……龍斗」
「どうした?」
「この一年半嫌じゃ無かった?」
「……嫌じゃなかったよ。出来れば…本当の関係にしたい。」
「……私もこれが最初で最後かと思うとなんか悲しいな」
偽りの関係から始まりいつしか真の関係になった。高校を卒業して別の大学へ進学した今も時間さえ合えば会うようになった。
「おはよう!相変わらず時間ピッタリだね」
「おう!おはよ、仁美もな」
あの時のように見せかけでは無い本当の恋人として。