同じ星に願いたい… 5

 2007-11-06投稿
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仕事が終わって家に帰ると名刺を見てはボーッとし、時にはため息まで出てしまう時間が増えたように感じていた。

ため息をつく度に幸せが一つ消えて行くよって、誰かから聞いたけど、かなり消えたかも…私の幸せ。
今週の休みはどうしよう。ちょっと足を延ばして少し遠いけど別のプラネタリウムへ行ってみようかな?
ネットで調べたら新しくて評判も良いし。

いつもは自分が運転する車で行ける範囲のプラネタリウムへ行っていたけど、片道150キロ以上の距離は一人で行くには疲れてしまいそうだし、新幹線を使えば早いし。

プラネタリウムや星に興味の無い人には馬鹿らしい事に聞こえるかもしれないけど、見えない星に出会うには、この方法が1番早い。

牡羊座生まれの私には、自分の星座である牡羊座は、どちらかと言えば地味な星座で、しかも解りにくい。
だからプラネタリウムで見ると星を線で繋いで、尚且つ星座の絵に当てはめて見せてくれるから、分かり易くて良い。

物心がついた頃から、空を見上げ、星に願いを込めるのが好きだった。
人に言ったら絶対笑われるから言わないけど、風が吹いた時は風に、月を仰いだ時は月に話し掛けていた。

だから、私は星に願いたかった…。

彼との接点が欲しいと。



いくらプラネタリウムとは言え、ありえないと思った場所で再会するとは全く思ってもみなかった。
偶然もここまで来ると夢か現実かがわからない。


「お一人ですか?」


そう聞いてきたのは彼の方だった。
一緒に投影を見る事になり、隣に座った私は緊張していたかもしれない。
ドキドキしているのが信じられない程、自分で解るから…。


「今日は、あの女性の方とは一緒じゃないんですか?」


緊張のあまり、つい、直球に出てしまった。

彼はこっちを見て


「あの人は、プラネタリウムコンサートの企画担当で、僕の大学時代の先輩なんですよ」


そうだったんだ…。
思いきってプライベートな事も聞いてみたら、現在はフリーだって。
思わず嬉しくなってしまった私でしたが、冷静に話しを続けようとするより彼の方が先に私が言いたかった事を言ってきた。


「これまでの偶然、凄いですよね。キミの事を知りたいんだけど、教えてくれませんか?」

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