Mちゃんへ
なんか久しぶりですね。いま何してるんですか。何年つづいんてですかね〜。この文通。 まぁぼくは 死ぬまでいいかな。 健太より
健太(ボケ)がめずらしく鉛筆をもつときは、まだ一度もあったことのない謎のベールに包まれている『M』ちゃんに文通を送るとき限定だ。
いま『文通』と聞いて 「いま頃文通って笑」と鼻で笑った人も、「ふみみち」とだれかの名前と勘違いして読んでるお馬鹿さんも、勘違いしないでほしい。 この文通のやりとりは『M』ちゃんの間違いから始まった。
それは九年前、健太が18才のお正月のことだった。
「健ボーー!!健ボーー!!!……………健太ぁーー!!!!」
「あぁぁん?? 朝飯はいいでーーーす」
「あぁ? あっははははっひっひっひ…… あんたの朝飯なんてあるわけないじゃないっひっひ……」
「うっせーなー なに笑ってんだよ。かぁちゃん」 (階段を降りる。)
「ひーひーっ……」 (涙目になった目をこすりながら)
「はい年賀状。四通。」
「えっ年賀状?」 (こういうときに友達との友情感じんだよな〜なんて思いながら、年々ふんわり減っていっている年賀状に目を通す。)
(健太は驚いた。)
「えぇ〜〜!??」
「ふっははっははは……父ちゃーん 健ボーはさびしぃのうーー。」 (町子は我が家のリビング的な所で 玄関で落ち込んでいる健太に聞こえるように、笑いころげた。)
「……担任の若林、親戚の鹿男じいちゃん、…………高校ゼミっ!? なにが君はまだ遅くないだよっ。てか 君呼ばわりしてんじゃねー!!」
(その年賀状を床に叩きつけた。)
「高ーっ校ーっゼーーミャッハッハッハ……。」
(また町子の甲高い声が聞こえる。)
「母さん、そう笑ってあげるな。」
(最近、痔に困っている父の和夫が促す)
「うっせぇーなー。……………。 あれ、これ、おれ宛てじゃねぇーじゃん。」
[聡へ、 Mより、]
「くそっ。 終いには しらねぇー奴からかよ!!」
(健太は勢いでその手紙をゴミ箱に投げ捨てた。)
たぶんつづく