「‥‥ま、小宮山。」
「えっ?はい。」
「少し考えて貰えないか?人が集まらなくて困ってるんだ」
私が職員室を出ようとすると、先生は、
「お前T高狙ってるなら内申稼ぐのも手だぞ」
と言った。
正直、生徒会には憧れていた。でも西川先輩を裏切れない。
その日の帰り、私を後押しする光景をみた。見なくて済んだのであれば、一生見たくなかった。
男の子と並んで手を繋いで歩く、西川先輩。隣にいるのはあの人。先輩は私があの人を気になっていることを知らない。でも先輩は部活がすべてじゃないんだ。
先輩の左手が羨ましく思えた。繋がれた先には名前も声も知らない、あの人がいる。
「晴奈、何で生徒会なんて立候補したの?部活はどうするの?」
「‥‥。部活もやります。」言葉を飲んだ。精一杯怒りを、勝手な怒りを押し殺した。だって先輩は悪くないから。
<センパイダッテ、ブカツガスベテジャナイデショ?>
飲み込んだ言葉はとても卑しい私の本音。勝手に先輩に嫉妬して、先輩を裏切った。先輩ごめんね‥‥。