「あー…でもこれからどうするかな…」
とりあえず立ち止まっても仕方ないので奏多はあてもなく彷迷っていた。
辺りを見回しても町も人も見当たらない。
ってかここ人とかいるのか…??今更だけどこれって夢じゃないよな…。
ふと背後から唸り声が聞こえた。
「ウオオォォォォ………」
「!?これは…魔物かっっ…」
見るからに危険そうな生き物だった。生き物に例えると狼だろうか。だが鋭い牙や爪は俺なんか簡単に引き裂かれてしまうだろう。
「ウガァァッ!!」
魔物が襲ってきた。とっさに剣で攻撃を防ぐ。
キーーーンッッ!!
牙と剣がぶつかり合う。
だが相手の攻撃に対応しきれず、魔物の牙が俺の右腕をえぐった。
「うっ…」
剣が手から落ちてしまった。腕の痛みがじわじわ広がる。
「ガァァーーー!!」
やばい、魔物が来る。もうダメだ……………
そう思った瞬間――
「フレイム!」
炎をうけた魔物は砂となって消えた。
「………ぁ、ありがとう。君のお陰で助かった……」
「いや、別にいいけど、ここは魔物が出やすいから気をつけて。そこの看板にも書いてあるだろ?」
「えっ?!いや、こんな字読めないし……」
奏多の後ろに看板があったが、日本語とは違う文字が書いてあって意味不明だった。
「文字が読めないって………ん?お前の服装変わってんな……お前何者だ?!」
「いや、話せば長くなるんだけど…多分信じてもらえない……」
こんな話普通ありえねぇだろ……それより、こいつさっき見たけど、凄く強いな……見るからには俺と同じくらいの歳に見えるけど……
「その前に、自己紹介するよ。俺は奏多。」
「あぁ、俺はパズー。せっかく出会ったんだし、俺に話してみろよ。」
「えっ?あぁ…」
俺はこれまでの出来事を話した。
「へぇ。じゃあお前はこれからどうするんだ?」
「俺の定めってなんなんだろ…とにかく旅を続けるよ…………うっ!」
腕の傷がまた痛みだした。
「ひとまず、この先にある町で休んだほうがいいよ。」
「そうだな。」
俺たちは町を目指した。