彼女の名前を知ってから、廊下ですれ違うと彼女に目が行ってしまう。
痛い
教室の入り口扉に顔半分をぶつけた。格好悪い…
っていう感じの2日間が過ぎた。そして、ついに来てしまった二回目の体育の授業。この一日で、僕の三年間のポジションが決まってしまう。 三時間目の体育まで恐怖に震えていた。その日は50メートル走で僕の人生最大の欠点だ。案の定、八秒二…あまりにも遅すぎる…彼女が笑ってる。理由は分からないけど、とりあえず落ち込んだ。ハンドボール、十メートル…一体なんなんだろう、この運動オンチぷり…
僕のクラスでのポジションが決まった。かなり、下の方。ビリではない。助けられたのは性格が明るいことと、見た目が普通なことだったみたいだ。
授業が終わって、僕はベランダで落ち込んでいた。落ち込んでいる僕の肩を誰かが叩いた。『マユ』だ。呼び捨てなんて生意気かもしれないけどまだ下の名前しか知らないから仕方ない。
「あたし、細井マユ。君、走るのかなり遅いね。あたしも、運動オンチなんだ。」
しっかり見られてた…。あの50メートル走はインパクトがあったようだ。これが僕と『マユ』のファーストコンタクトだった。