「あの崖の上に一本の木がある。あの木の下には悩みを解決する人が眠っている」と年老いた男性が不良少年たちに話した。
少年たちはウザイと口々に言いだした。しかし、男性は
「悩み事は解決する。しかし、あの崖に登れるのは1日に一人いるかどうかだ」と話した。
少年たちは一人、また一人とその場を去った。
「1日なん百人という人が悩みながら昇る。だけど、あまりにも険しい為、皆下山する」
最後までこの話を聞いていたのはたった一人の少年だけだった。
次の日、その少年は一本の木を目指した。
段々人が減り、一人になった。険しかった。でも一心不乱に登った。手に血が滲んでも。
そして、その木にたどり着いた。辺りはもう暗闇だった。
「俺はこれからどうしたらいい?」
「俺は子供の頃に家族を火事で失い一人ぼっちだ」
そう呟きながら少年は温かい水を目から流しながら眠ってしまった。
温かい日差しに起こされた少年はなぜか嬉しそうにその木を抱き「ありがとう」と言った。
数年後
あの少年はオレンジ色の服を着ていた。
少年は家族を奪った火と戦っていた。
自分と同じ思いをする人をなくしたい。
そう思いながら強い火の中に入って行った。