【帰りのバスの中】
ケイタ『いやぁ1試合目の最後はあっけなかったなぁ…ビッグイニングつくって、天堂寺が調子上げてってピシャリだもんなぁ』
バスの中では出てもいない試合をケイタが振り返っている。
リュウヤ『テメェは1試合目にでてもねぇだろっ!…ったく2試合目はエラーに足引っ張られて散々だったぜ!!』
2試合目に先発したリュウヤはご機嫌ななめだ…
なんせ相手は1試合目とほとんど変わらないフルメンバーに、こちらは主力温存メンバーで臨んだからだ。リュウヤが愚痴るのもわけない…
12対4。
これがダブルヘッダー2試合目の結果だ…
もちろん負けたのは俺らの方。
ユウ君『でも、今日のショウのピッチングは圧巻だったね。7回で11奪三振だもんね』
ショウ『11?そんなにとったかぁ?』
バスの窓にもたれかかったショウは眠そうにそう答えた。
キョウスケ『今日みたいだったら立仙(リッセン)中とか、鳳(オオトリ)一中からも勝てそうじゃん☆』
立仙中。
昨秋の大会で準決勝で敗れた相手。昨秋準優勝の強豪だ。
鳳一中
昨秋優勝の地区王者だ。
タク『春は勝ちてぇなぁ。』
アキ『まぁ頑張んねぇとな…』
そうこうしている内にバスは藤城中に到着した。
後輩が試合用具を片付けている中、曾我端さんが新三年全員を集めた。
曾我端『GWから春季大会が始まるが、いつも夏休みにやっている合宿を4月の三連休にやろうと思っている。それほど、お前らには期待している。とりあえず頭に入れといてくれ。』
合宿!?
俺達は凍った。
新チームになると同時に行うチーム底上げの為の地獄の合宿。
俺らはそれを三年になってもやるのかぁ…
でも、ショートの守備も不安があるし左打ちも日が浅い俺にとってはいい機会かも知れない…
と俺はポジティブに受け取った。
春の合宿。
これが今後の俺を大きく変える事となるとは…