ノブオは握っていた携帯の手から緊張の汗が出て来るのが分かった。そして ゆっくりと振り返った…。
「わぁ!やっぱりノブオ君じゃん!家この辺だったのぉ?」
クラスのマドンナ桜井 菜奈だった。
ナナは学校でも大変人気が有り、上級生下級生問わず絶対的な人気者でクラスと言うよりは学校中のマドンナだ。
ノブオも密かに恋心を寄せている女の子だ。「ねぇ?ノブオ君だよね?ナナだよ、私服だと違って見えちゃうかな?」
(…ど…どうする俺…)
ノブオは下を向いたまま作戦を練っていた。「もぉーノブオ君だって分かってるんだからねっ」
ノブオに考える時間を与える間もなくナナが うつ向いてるノブオを下から覗き込んだ。
ノブオは精一杯顔中のパーツを顔の中心に集めた。それはまるで ヒョットコの様な顔になり、かん高い声を上げてナナに告げた…。
「ひ…ひとちゅがい (人違い)じゃ…ない でちゅかね(無いですかね)?ぼ…僕は…ノブュオと言う名前じゃなひ…でしゅよ…」
「……」
「……。」
正に苦肉の策だった。しかし余りにも幼稚染みた作戦だった為、
周りの女の子達にもバレバレになり
皆、募金活動そっちのけでノブオの傍まで寄って来てしまった。
…ノブオは泣いた…。
本日3度目だ…。
つづく…