学校がない日はちょくちょく彼女は僕の家に来た。自分から話せるようにもなった。
「潤は大切な人いる?」
「どうして?」
「潤は優しいから」
「優しいと大切な人がいるの?」
「皆から好かれそうだから」
「僕は優しくないよ」
「優しいよ」
僕は彼女にありがとう、と言った。
夏休みになった。僕は水泳部だったから毎日部活に行ってて彼女に会えなくなった。部活が終わって仲の良い女友達と帰っていた。公園で話していると僕のすごい近くに彼女が来た。
「うそつき」
彼女はそう言って走って行った。僕は友達にまた明日、と言って彼女を追った。僕はすぐに彼女を捕まえた。彼女は泣いてた。泣きながらぼくに言った。
「大切な人いるんだ」
「え?」
「潤は優しいからいるんだ」
「君はいないの?」
「潤が…潤が大切だよ」
僕は今までにない衝動にかられた。びっくりしすぎて次の言葉が浮かばなかった。彼女は僕を見て言った。
「でも潤は私の事好きじゃないから」
僕は彼女の手を引いて抱き締めた。
「好きだよ。大切だよ。君が一番大切なんだよ。」
その日は彼女も泣いたし、僕も泣いた。