一方朝山中戦を終え、不破も帰宅したところだった。
カズマ『ただいま』
正樹『おう。どうだった?練習試合?』
答えたのは父正樹(マサキ)だった。
カズマ『1試合目は勝った。2試合目は負けたけど…』
カズマの父正樹は藤城町の役場に勤務している。また、曽我端のように審判もやっている。藤城中にもよくコーチとして訪れる。
また、兄の正介(ショウスケ)は藤城町の隣、鳳(オオトリ)市にある私立高校に通っている。
もちろん兄も野球部。しかもキャプテンだ。
そんなエリート家に生まれもちろんカズマもエリートとして育った。
しかし、父も兄もエリートコースを進み自分もその道を進まなければいけない。
ということにカズマは内心プレッシャーを感じていた…
正樹『どうだ?キャッチャーはもう慣れたのか?』
自身も中学、高校時代捕手として活躍してきた正樹が息子の様子を伺った。
カズマ『あぁ。大分慣れてきた。ショウの球、だんだん速くなってきて捕り辛くなってきてるけど…』
正樹『去年の今ごろはサードだったもんなぁ…でも、できないなんて言ってられないぞ!お前がキャプテンなんだからな!』
カズマ『わかってる。月末の3連休また合宿やるらしいから、そんときに完璧に仕上げるから』
そう言うと一真は、自分の部屋へ向かっていった。
カズマ(俺も親父や兄貴みたいにみんな引っ張って頑張んないといけないのかぁ…キャプテン、キャプテンってたまには誰かに頼りたいぜ…)
捕手というポジション、キャプテンという責任、家族のプレッシャー、様々なものが今の一真に負荷を与えていた。
カズマ(月末は合宿だからな…なんとかメンタルでも技術でももっとレベルアップしねぇとな…)
春の合宿、春の大会と日にちはどんどんと迫ってくる。
しかし、自分自身へのプレッシャーに耐えながらも、キャプテン不破一真は春の合宿へ向けて、更なるレベルアップを誓うのだった。