「もしもし」
「あ、裕也?今日はありがと」
毎夜繰り返されるたわいもない会話。離れていても耳に届く大好きな声。
[兄ちゃん遊ぼー!]
[ちょっ、お前等、今電話中だろ!]
[兄ちゃんいっつも電話ばっかりじゃん遊んでよー] 「あ、あの裕也?」
「ゴメン!これ以上話してられない、また明日な。」 「わかった…もう切るね。おやすみ…」
(ハァ…5分かまぁ話せるだけマシかな…)
彼の家はいわゆる大家族、下は園児から上は社会人まで幅広い兄弟がいる。
彼は家計の足しにとバイト代をほとんど家に入れているそうです。
それに今時珍しく携帯も持っていない、だからいつも家の電話を使っている。
一方私は、一人っ子で大学入学と同時に実家を出た私には少し裕也が羨ましくなる時もあるけど、なぜかいつも一緒にいるのに、夜の長さが身に染みる。
もっと裕也話がしたい。こん事を思うのはわがままかな?