「あの人社長出勤よ〜ちゃんと来た来た。寝坊らしいよ。」
藍治はそう言って微笑んだけどたぶん目は笑ってなかった。でもアタシは藍治との間に流れた沈黙が破れたのでほっとした。
「裕太、社長って感じじゃいわよね。どっちかっていうとアンタの方がバカ社長って感じよ。」
鈴子サンが頬杖をついたまま冷静に言った。
「ひっでぇ…訴えてやる!!!」
そう言って藍治はトイレに駆け込んだ。
「頭おかしい〜」
アタシは大笑いした。
「椿ー…」
鈴子サンが急にまじめな顔をする。
「え…何??」
「アンタもとことん罪作りねぇ〜藍治気の毒だわ。」
始業のチャイムが鳴った。
「…鈴子サン!アタシは」
先生が教室に入ってきた。
「席つけぇ〜。授業始めるぞ。」
「椿あとでね。」
鈴子サンはアタシの腕をポンと叩き自分の席に行ってしまった。
アタシ…。