神妙に机の前に並ぶ彼ら。
表情は強張ったまま。
偉人は無言で手を掲げそれから眩い光が発せられる。神々しい光、創造と破滅の対が共存するそれに見慣れた彼らでさえも魅入ってしまいそうだ。
すると三つのペンダントが光から生み出された。
無骨ながらにしてそれは怪しく輝く。中の黒い石が一層それらを際だたせる。
偉人がスッと立ち上がり彼らを一瞥し口を開いた。先まであった眼光は白い眉に隠れ姿を消した。
『チームで行動するに伴いこれを身につけてもらおうかの』
と言い終えるとペンダントは宙を浮遊し彼らの手中へと納まった。
するとどうだろうか、黒晶が鮮やかに輝き出した。まるで生命が宿ったかのように。
黒晶がラウルは緋色、レイスは蒼色、グランは琥珀色に変わっていた。
彼らは声も出ない程、偉人の放った光よりも神々しく鮮やかに生命の炎の如く輝き続けるそれに魅入っていた。
『なるほど…ラウルは炎、レイスは水、グランは雷を司る聖人の子孫らしいのぉ。お主達の訓練を見てたら見当はついてたがの』
白く伸びた髭をさすり柔らかな笑みを浮かべる偉人。
いったいどこで見ていたんだと琥珀を手にする彼が頭を悩ませる。
『まぁ小さい事は気にしなさんな。しかしどれも普通の物の色はしとらんのぉ。期待させてくれるわい』
金髪の青年の表情を読んだのか軽く流し満面の笑みを浮かべている。
『後先短い老人の楽しみが一つ増えたわ。そのペンダントには、ちと便利な機能があっての。ペンダントを持った者同士でどんなに遠く離れていても会話ができるようになる。まぁ一度所持者が接触しないとそれはできんがの』
髭をまたさすっている。どうやら癖みたいだ。
『じいちゃん凄いね!てかこれかっこいいから気に入っちゃった』
無邪気にはしゃぐ少年を傍らに眉間に皺を寄せる青の青年。
『少し言葉を謹んでくれ。長老、ペンダントから指令が下されたりするのでしょうか』
少年を一瞥し強く言い捨てた。少年はムッと頬を膨らませ彼を見やる。どうやら腑に落ちないようだ。
『そんな事気にしとらんと何度言わせるんじゃ。レイスよ、御名答とでも言うとくかの』
そう言われたレイスはどこか誇らしげに笑う。
そしてペンダントにはもう一つ機能がある。
偉人に所持者の死を告げる機能...