身長157?、体型標準。得意な事は料理。
そんなどこにでもいる高3の私、山田優美。
最近悩み事がある。
「優美ちゃんあんまん出ちゃってるよ。今すぐ補充して〜」
起きてんだか起きてないんだかわからないような目の細い店長がこれっぽっちも威厳のない声で言った。
「…は〜い」
今は11月半ば。夜7時頃にもなるとお客さんの足数も減ってきて店内には1人しかいない状態。
そんな状態で補充なんかしなくてもさっき肉まんを6こ補充したんだけど…。
そう思って開くとあんまんの棚だけが空だった。
あんまんだけ。
またか…店長あんまん好きだからなぁ〜…
どうせ自分が食べたいから補充しろと言ってるんだろうけど、私はあんまんが出来たときの店長の嬉しそうな顔を想像してさっさと補充した。
そう。悩み事ってのがコレ。勤めて2年になるバイト先の店長が好きになっちゃったんです。
私と店長との年の差が6歳くらいある。一応私も花の女子高生。恋の一つや二つしてもいいのに人生で初めて好きになった人がこんなヘタレの見本になるような人。
ため息をつきながら補充した事を店長に伝えると
「わぁい!じゃあ出来たら持ってきてね。ご褒美にチョコをあげよう」
そう言って私の制服のポッケに一口チョコをねじ込む店長。
男でありながらこんな子供みたいな顔するから好きになっちゃったんだよね…
そんな事を思ってたらまだチョコを入れてる途中の店長。ポッケにはハサミとかボールペンをたくさん入れているから、なかなか入らないようで、諦めて自分で食べてる。
それくれたんじゃないのかい…?
すると突然真剣な表情で私を見てきた。
嫌な予感…
「山田さんさぁ、今度の日曜日暇?」次にくる台詞は分かってたけど一応聞いた。
「なんでですか…?」
「実は日曜日にやる新商品の試食会に出て欲しいんだ」
出た…
「嫌です」これ以上ないってくらいきっぱり言った。でも店長には通じない。
「え〜?そんな事言わないで頼むよ!俺その日ダメなんだよ。山田さんしかいないの!ね。お願い!」
いきなり店長が手首掴んで頼むから正直ドキっとした。私はこの顔に弱い。
「…わかりました」
あぁ…惚れた弱みだわ…
その瞬間踊りだしそうなくらい喜んだ店長。
後日私は試食会に行った。その日から私と店長の関係がいい方(?)に変わり始める事も知らずに。