届かない手紙

たかし  2007-11-13投稿
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ある晴れた日の朝

手入れが行き届いている庭先に、喪服姿の老人。


「あぁ~、今日は日本晴れじゃのう」


「にゃ~!」


「ほう?、タマも日向ぼっこか…そうかそうか、…」


「おじいちゃ~ん! そろそろいくわよ~」

「あっ! そうじゃったそうじゃった」


《そうか、さっちゃんが……逝ってしまったか…。》






〈昭和の初め…若い男と女〉




幸子 「わたし……わたし……慶治さんのこと、絶対に忘れないから!」



慶治 「………」



《政略結婚が二人を引き裂いた》




それから何年かして、慶治に一通の手紙が届く。


「お元気で居られますか?... 幸子です。」


慶治 「さっちゃん!」


それから何年にも渡る、慶治と幸子の二度目交際が始まった。


けして会うことは許されない....



「手紙」という名の交際が....



閑静な住宅街、そなかでも、一際目立つ大豪邸。
屋敷の前には、何本もの花輪立っている。



慶治 「ほ~う、立派なお屋敷じゃのう」




中に入ると正面には大きな遺影が...


そこには、満面の笑みで映っている白髪の女性....


慶治 《幸子!やっと会えた...やっとじゃ!》


参列者の一人が小さな声で誰かと話しているのが聞こえてきた。

「女手一つで、ここまで会社を立て直したそうよ」  
「へぇ~、子供が3人も居てね~」

「たしか旦那さんは、3人目が生まれたあとすぐに、事故で亡くなったのよね~」

慶治「!!」




「慶治さん覚えていますか..幸子です...」

「もうすぐ下の子も小学生です..」


「幸子です。長女が結婚しました...」



「幸子です。10人の孫に囲まれ幸せな毎日を...」






幸子の孫の一人 「そうそう、そうえばおばあちゃんが昔...」

幸子 「あたしが死んだらこの箱を一緒に棺に入れておくれ、必ずだよ」

それは、かなり古く、年季が入った桐でできた箱であった。


孫の一人がその箱をあけてみると..



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