柳田達は程なく、夕食に誘われた。
天井が高く、大理石の柱が立派なダイニングルームで、豪華なフランス料理が次々と運び込まれて来た。
「信じるか?信じないか?」
豪華な前菜を見て、柳田はアイリーンとソンスンに質問した。
「最後の晩餐かも知れないな」
ソンスンが静かに言った。
だが、アイリーンは反応が違った。
「食べられる内に食べた方がいいわ。
毒が入っている時は、死ぬだけよ。」
「よく、そんな気持ちになれるね?」
柳田はポーカーフェイスのアイリーンに呆れた顔をした。
「でも苦しんで死ぬのはイヤだから、その時はこのナイフで動脈を斬ってね。」
そう言うと、アイリーンは肉用のナイフを手に取って見せた。
一同は思わず笑った。
その時、執事が部屋に入ってきた。
「お食事をお邪魔して申し訳ありませんが、主人からのメッセージをお預かりしています。」
そう言うと部屋の壁に掛けられた、大きな液晶ディスプレイに注目するように促した。
そこには、あのオリエンタルな雰囲気を漂わせたケビンが映っていた。
「ゲストの皆さん、こんばんわ。」
その瞬間、柳田とソンスンが気付いた。
「録画じゃないな。」