なんかテレビの時代劇を見慣れてるせいか、イマイチ本物を見てもそれほど感動できないな。
青年は思った。
大学の長い夏休み。どこか一人旅にと思っていたが、現実は甘くない。バイトやサークルが意外と忙しそうだ。ならばと、今流行りの『日帰り時間旅行』に参加したのだった。時代は元禄にした。(彼個人的には幕末か明治に行きたかったのだが、これまた大盛況。しかたなく、只今二割引き、定員に若干の余裕ありの元禄 花のお江戸ツアーにしたのだった)
集合はあさ六時、東京時間局千代田支所前。
青年は五時半には到着した。せっかくの旅行なので雰囲気をだそうと、前の晩から近くのビジネスホテルに泊まっていたのだった。だから、こんなに早い。
でも到着は五番目…、集合場所には誰もいなかったが、受付のコンダクターの女性がいて、彼女にそう告げられた。
どうやら、受付を済ませたら時間局の‘時間移動審査’を受けなければならないらしい。そんな理由で集合場所には誰もいない。
続く