2日後の午後4時、私たち7人の脱出作戦は決行された。
科学者たちを誘き寄せるのは、シュウ。
「オレは、脚が速いから…上手くやれば逃げられる。」
シュウは、ハルキにそう言ったそうだ。
そして、科学者たちを誘き寄せたら、倉庫から盗んだ火薬を爆発させる手筈だ。
私とハルキは南、ケイトとマリーは西、テイリンは東の出口に向かう。
私たちは、息を潜めて合図を待った。
そして、聞こえた。遥か遠い北の出口でシュウが火薬を爆発させた音が。
―――作戦開始―――!
私たちは一斉に駆け出した。まだ見ぬ自由を求めて、ただ一心に走った。
しかし、30秒ほど進んだとき、遠くの方から銃声が聞こえてきた。
まさかシュウが…と嫌な予感が胸をよぎったが、私はそれを振り払い、ひたすら走った。
ハルキに、一目でも太陽を見せてやりたい。
ようやく出口が見えてきたとき、背後から声がした。
「いたぞ!逃がすな!撃て!」
私が振り向いた瞬間、2人の科学者たちが銃を向けていた。
「ハルキ、危ない!」
遅かった。銃弾はハルキの腹部に命中し、血が飛び散った。
しかし、ハルキは走り続けた。扉の先にあるであろう、自由を見据えたまま。
私は引き返し、科学者たちの方へ向かって行った。ハルキの逃げる時間を稼ぎたかった。
私は科学者の1人に掴みかかり、銃を奪った。もう1人が発砲した銃弾が私の右胸を貫いたが、不思議と痛みはなかった。
私は無我夢中で科学者たちに銃口を向け、撃った。科学者たちは倒れ、動かなくなった。
私はすぐにハルキの後を追った。ハルキは、重い扉を押し開けるのに四苦八苦していた。
私たちは力を合わせて扉を上に押した。
息が苦しい。
ハルキの顔は蒼白で、手が震えている。目の焦点も合っていない。ハルキは腹からひどく出血していた。
そして、遂に扉が開いた。