四話
―放課後―\r
「俺さー、思ったんだけど、何で斉藤さんは声出ないの?」
『亜美でいいよ』
「うん。じゃあ俺は梓でいいよ」
『私、何で声が出なくなったか分かんないんだ』
ノートに書いて見せる。
『私、半年前まで歌手やってたの』
「歌手・・・?」
亜美、うなずく。
『それで、朝起きたら声が出なくなってた』
「原因とか分からないの?」
亜美、ノートに書く。
『分からない。病院に行ってないし』
「行けよ。病院」
『だって、歌えないような病気だったらヤダもん』
梓、ノートを見て黙り込む。
「亜美は、よっぽど歌が好きなんだな」
亜美、うなずく。
「俺も、聞いてみたいなぁ。亜美の歌」
ドキッ・・・―――\r
変なの・・・
心が落ち着くの・・・。
梓といると
笑えるの・・・。
心地良いんだ・・・
梓の隣は・・・。
「あ!いいこと思いついた!」
「?」
「特訓しよう。声出す特訓」
亜美、微笑みながらうなずく。
そうだ・・・
梓といることが、私の生きがい・・・
私、決めたよ。
梓の前で、絶対歌うからね!
そして、今日から毎日放課後、公園に集まって特訓をすることになった。