「これは、録画していない。今の映像だろ?
ケビン?聞こえてるんだろ?」
柳田は天井付近にあるカメラを見つけて、カメラに向かって大声で話した。
「ああ、そうだよ。ライブだよ。」
ケビンの後ろから爽やかな風が窓越しに入って、ケビンの髪が優しく揺れた。
「ケビン、お前は今、何処にいるんだ?
後ろの風景は夕暮れだな?
見たところ、まだ、サンフランシスコには行ってなさそうだな。」
「もちろん!
僕は貴方達との旅を楽しみにしてるんだ。
ミスター・ヤナギダ、貴方のご友人は軍人なんだね?」
ソンスンの顔が歪んだ。
「何故、そんな事が判る?」
柳田が間髪入れずに切り返した。
「CIAからね、日本人と韓国人のスパイが逃亡したって、連絡があったんだよ。
指紋照合したら、韓国人は、元韓国の特殊部隊にいたんだってね。
どおりでいい体していると思ったよ。」
「CIA・・・
やっぱりな。一連のテロも、お前の仕業なんだろ?
長い間、窮屈な生き方をしてきたんだ。
楽しかったろ?」
柳田は推論が確信に変わり、モニターのケビンをじっと見つめたが、ケビンは笑顔で柳田を見つめ返した。
「ああ、とても楽しかったよ。」