私には夢がある。
私は将来バンドを組む。
メンバーは男女4人。
みんな友達。
ボーカルは私。ドラムもいいかな。
メンバーのひとりの優しくて背の高い、薄い金髪でキレイな声。
そんな人と暮らすんだ。
ポストには毎日遠くの友達からの手紙。
オシャレな便箋でね。
返事も毎晩書くの。
日記みたいに。毎日。
それから....
お庭が広くて小さな家に住もう。
大きな犬を飼って。
庭には花がたくさん。
赤い犬小屋。赤いポスト。
錆びたブリキのジョウロ。
街にはたくさんの人達。
オシャレな商店街。
花屋さん骨董店肉屋さん洋服屋さん。。。。
飽きることもなく毎日手紙を書いて
毎日花に水をあげて
毎日街を歩いて
毎日彼を見るの。
どんなに幸せだろう。
アルバムはない。
過去の記憶と一緒にぜんぶ捨てるの。
ドラマのヒロインみたいにね。
どんなに幸せだろう。
だけど今はひとり。
素敵な街も、
小さな家も、
優しい彼も、
バンド仲間もいない。
今は、
楽しくないのに笑う。
悲しいのに笑う。
他人に優しい私。
自分に優しい私。
全てを隠す私。
今は、ひとり。