……こいつらにミッションD (削除指令)任せて大丈 夫なのか?……
子供の様に騒ぐ城崎涼と日浦ヒカルを見て、情報室チーフ井沢修二は言い知れぬ不安を覚えていた。
「あんた達、静かにしなよ。 ボスが困ってるよ」
それまで沈黙を保っていた木島冴子が、凄味のある低音で二人を黙らせる。
言葉に続き、立ち上がった冴子は涼とヒカルの襟首をつかみ、子猫の様にぶら下げた。
自らはソファの中央に陣取ると、二人を皮張りのソファに体がめり込む程の怪力で押さえ込んでいた。
涼とヒカルの二人はまさにぐうの音も出ないありさまである。
さすがはライオンだな…
井沢修二は、木島冴子の迫力に気押される思いながらも、感心していた。
木島冴子はライオン
城崎涼は灰色狼
日浦ヒカルはチーター
『旧ファクトリー』と呼ばれる研究施設で遺伝子操作を受け、人類の体に野性獣の身体能力を組み込まれた生物たちの生き残り、それが彼らであった。
ミッション・デリート。 それは、犯人の速やかなる粛正だけを目的とする指令である。