仙南総合病院
慶治の孫で、大学2年の真理が病棟の受付で、
看護婦と何やら話している
「三階の〜..はいっ...右に曲がって..あっ左にぃ
...の奥....分かりましたぁ〜!」
「ありがとうございました〜!」
真理は深々と頭を下げた。
真理は「信州みかん」と印刷されている段ボールを抱えている。
《しっかし重いな....もう少しだからね!》
真理は段ボール箱をみつめてつぶやいた。
〈202号室〉
武山 慶治
《ここだ!》
コン..コン!
「失礼いたしやぁ〜す...」
慶治 「おっ!」
真理 「おじいちゃ〜ん!..元気そ〜ね!」
慶治 「わしゃあ何時でも、元気じゃ〜、真沙恵も
血色ええぞ〜!」
真理 「ちょっとおじいちゃん!‥真理よ!
真・理!」
慶治 「!あ〜真理じゃった、真理じゃった」
《失礼しちゃう!..真沙恵って私のお母さんじゃない!自分の娘と孫..普通間違う?!..それに血色ってなによ血色って、他にないの..》
「おじいちゃん!もう一人、いい娘連れてきたわよ〜
「ん?」
「にゃ〜‥にゃわん」
「?..ねこ?」
「じゃがじゃ〜ん!」
〈段ボールオープン〉
慶治 「タっ...タマぁ〜!」
「タマや 〜..おぉ〜、よしよし、淋しかったか〜?」
「けんど...病院で猫飼ってもええんじゃろか?」
「ダメに決まってるじゃない、お見舞いよ、
お・見・舞い、淋しいと思ってさ...」
「やはり駄目なのかい..........」
「そっ!」
慶治 「ひとつぅ〜...お願いがあるんじゃが
つづく