「俺にとって今、必要なのはおまえだよ!
けど、おまえにとって必要なのは、誰だ?」
松本はただ一点を見つめている。
今、私に必要なのは誰か…?
松本?
それとも…。
『じゃあさ、俺の彼女になる?』
気持ちを伝え続け、やっと聞けた言葉。
突然で、でも凄く嬉しかった。
短く切った髪を
『猫みたい』
って撫でてくれたんだよね。
本当は、長い髪が好きなのに…。
私が身体を捧げようとした時だって
『俺にだって性欲はある。けどお前を大事にしたいとも思ってる』
彼なりの精一杯だったんだと思う。
…本当、いつだって和也だ。
思い出すのは、和也の事だけだよ。
「ま、松も…、私…」
また泣きだしそうになる。
松本はわかってるんだと思う。
一度も振り返らない。
ボソッと何か聞こえて、私は聞き返す。
「行けよ!…記念日なんだろ!?」
松本…!
肩が…
震えてるよ?
まっすぐに、好きだって言ってくれた松本。
守ってやるって言って、さっきだって助けてくれた。
ごめんね…
けど一番言いたいのは…
「ありがと!」
私は走る。
そう―\r
彼の元へ―\r