今日も真っ赤なストラトをかき鳴らし、声を張り上げる―――高校生になったレイジには1つの“夢”があった。
レイジは入学式を終え、高校一年生の新学期の初日を迎えた。
登校は小、中学校とかなり早い方だった。
高校生になってもやはり早い方らしい。クラスにはまだ2、3人の奴しかいない。
レイジはこの朝早くに教室に入ってから朝のSHMまでの時間が気に入っている。何故かこの時間帯は曲の詞や構想が浮かぶ。
いつも通り頭の中で作曲のイメージをしていると、いつのまにか教室には生徒がかなり登校してきていた。
(もうこんな時間か…)
そう思っていたら教室のドアがガララッ!と強めに開いた。担任も初日なので少し気合いが入っているらしい。
担任は小林先生というまだ若い女の先生だ。結構美人である。
「朝のショート始めるよー!」
と担任が一声言う前にはもうみんな席にはついていた。早い。さすが初日。
しかし空席が1つあった。隣の席である。
「1人来てないな…そこの席は…早田か!」
と若干怒りを混ぜた口調で言う小林先生。
(…まぁ当然か)
レイジは納得する。先生が怒るのも当然である。
(早田サトシ…あいつは確か入学式も遅刻したヤツだ)
とそんな事を考えていたら、先生の声がした。もうショートは始まっていた。
初日という事もあってか、グダグダ今日の予定を言っているだけであった。
そしてショートも終わりかけたころ、急にガララッ!と物凄い勢いでドアが開いた。言うまでもなくサトシが駆け込んできたのだ。
「ハァハァ…遅れて…ハァ…すいません…」
相当走ったのだろう。言葉が途切れ途切れになっている。
「アンタ…入学式から引き続き初日からやってくれるわねぇ…」
先生があきれた口調でいう。
途端、初日で緊張していたクラスの空気が緩み、ドッと笑いが怒った。
「アハハ…」
サトシは苦笑いだ。
先生に促され自分の席についたサトシ。
(こんなヤツが隣か…)
とサトシの方を見ると、なんと席に座った途端に、サトシは寝ようとしていた!
(おいおい…)
さすがにこれはマズイと思い、レイジはサトシに
「まだショート終わってねぇから寝るのはさっきの件もあったしマズイぞ」
と小声で話しかけた。
すると、サトシが
「あぁ、そっか!いやぁわざわざごめんなぁ」
と気さくに返してきた。
後編へ…